21世紀になり、インターネットにはブロードバンド旋風が巻き起こっている。言わずとしれたASDLの普及がきっかけだ。
ブロードバンド環境の最大の売りは「高速」と「常時接続」。モデムでノロノロ、ピー、ガー、ピー、ガーとやっていた時代とは違い、データがビュンビュン飛び交い、接続時間(通話料金)を気にする必要もない。そこで、またぞろコンテンツビジネスの可能性が一部で取り沙汰され始めている。課金がスムーズに行えない現状を抜きにした机上の空論はさておき、データがビュンビュン飛び交う時代に著作権ビジネスが、むしろ揺らいでいる面がある。そのキーワードは『Napster』であり『WinMX』だ。
2000年に注目を集めた『Napster』(ナップスター)を記憶している読者も多いことだろう。いわゆる音楽共有システムだ。MP3という音楽ファイルをユーザーどうしが交換することにより、デジタルコンテンツ著作権所有者が損害を被ると米レコード協会(RIAA) が猛反発したニュースはそこココで取り上げられた。そして、それは進化を遂げ『WinMX』となってインターネット内部の奥深くにいまだ存在する。WinMX・・それは地獄か極楽か。革命児か、それとも悪魔か?
そんなヘビーなテーマにある山岸が、ネットオークション !やらプライバシー のネタですっかりインターネットの深みにハマった・・ある山岸が挑む!!
よりによってあのヤマギシが!!
■インターネット上に欲しいソフトが落ちている?
iman:
元気?
山岸:
きゃはははーっ、ハッピーバースデー!!
iman:
ハッピーニューイヤーだろうが。
山岸:
おおおおっ。そうでした。部長は元気っすか? 僕は猛烈に元気っすよー。もうすぐオリンピックですからねぇ。期待してますよぉ、スキーだの、モーグルだのの銀輪の女王陣・・・日本代表ですからねぇ・・・キャバスケみたいな容姿なんとかなんねーすかねぇ。世界に恥ずかしーすね。
iman:
おいおい(汗;)。相変わらず支離滅裂な話だな。
山岸:
で、今日はなんです?
iman:
WinMX。
山岸:
(ニヤリ)やってますよー。
iman:
ちょっと説明してくれ。
山岸:
ガッテンです。
まずは『Napster』や『WinMX』がインターネット上の画期的な技術であることを触れておかなければならない。
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ユーザはソフトをダウンロードしてパソコンにインストールするだけで、世界中のWinMXユーザのパソコンのディスクに保存されているファイルをダウンロード可能になる。
従来のホームページやFTPの概念や手順を超え、最も手軽にファイルを交換することができ、かつ、不特定多数の人々とコミュニケートできるのである。これほどの革新的な技術でありながら、WinMXは問題視されている。
問題なのはやりとりしているコンテンツのほとんどが著作権所有者の意図とは無関係にユーザ間を渡り歩いていることだ。
つまり、違法コピーされたソフトウェアだったり、MP3だったり、アイドルの動画や静止画だったり、無修正のアダルト画像だったり・・・だ。
山岸:
『Napster』はもともと音楽ファイル、主にMP3の交換だけができるソフトでしたよね。それに対して、いま流行の『WinMX』は音楽だけではなく、なんでも・・・つまり、動画や静止画、しまいにはソフトウェアを交換できちゃうわけです。
iman:
去年の11月に「WinMX」で「Adobe
Photoshop」などを交換した男性らが逮捕 (インターネット・ウォッチ)という事件があったな。
山岸:
ありましたね。これを例に取ると、あるソフトウェアが発売になったとして「あのソフト気になるなぁ、欲しいなぁ〜」なんて思ってWinMXで検索すると落ちてるわけです。シリアル番号付きで。それをサクッとダウンロードしてインストールすればカネも払わずに使えてしまうわけです。
iman:
違法コピーだな。
山岸:
そうです。以前は著作権協会とかなんとかも「友達にソフトウェアを貸したり、コピーしたりしてインストールさせることは違法です」なんてPRしていましたよね。それよりタチ悪いっスよねー。なんせ見も知らないヤツからもらって自分のパソコンにインストールして使っているんだから・・・その規模はたいへんなものでしょうね。
iman:
まぁ、友達でも見知らぬ人でもどっちも違法だけど、たしかに英語版ならワールドワイド、日本語版なら全日本規模的に違法コピーされたソフトウェアがインターネット上に蔓延するわけだな。それじゃあ商売にならないよなぁ、ソフトウェア会社は。で、最近はどんなソフトが流行っているの?
山岸:
Windows XPの悪ティベーションなし版かなぁ。ありゃあ、便利ですよ。なにせ、面倒な登録がいらねースからねぇ。
iman:
・・・・。
山岸:
あ・・・・・・・。
iman:
・・・・・・・・・。
インターネット・ウォッチの同記事によると、逮捕された男性(19歳)は「Adobe Photoshop
6.0日本語版」や「一太郎」「Microsoft Visual C++ for Windows」など約100タイトル(総額700万円相当)をWinMXでダウンロードできる状態、つまり提供していたと言う。売っていたわけではない。もちろん700万円で買い揃えたわけではない。彼らはなんのためにこんな犯罪を犯してしまったのか。とても単純なプロセスがそこにはある。そして同時にWinMXの魅力と魔力がそこにある。それは体験してみないと理解できないかもしれない。
■アニメの主題歌や今は見られない幻のタイトルが
WinMXの仕組みやツール関連は次回に触れるとして、もう少し実態を詳しく聞いてみたい。ユーザ達はアプリケーションソフトの他にどんなファイルのやりとりをしているのだろうか?
山岸:
初級としてはやっぱり音楽ファイルですね。
iman:
音楽ファイル・・MP3か? 当然、CDからコピーしたものだね?
リッピング(Ripping)・・・パソコンのCD-ROMドライブに音楽CDをセットする。簡単な操作を行うと音楽CDに収録された各楽曲がMP3ファイルに変換されてディスクに保存される。実に簡単でオートマチックだ。この作業をリッピングと呼ぶ。市販ソフトでもフリーウェアでも、リッピングできるソフトはそこら中にある。
CD-Rソフトの多くがこの機能を有している。著作権を侵害しない範囲で使うなら、とても便利なツールだ。
山岸:
音楽CDをドライブに突っ込めば、すぐにアルバムの各曲がファイル化されますからね。宇多田ヒカルとか浜あゆ、GLAYとか人気ポップスのニューアルバムや新譜をリッピングして、WinMXでやりとりされていますよ。もちろん、欧米の人気ポップスなんてうじゃうじゃ。日本でCDが店頭に出るのより、WinMXの方が早いスよ。
iman:
ある程度、音楽ファンがやりとりしているんだろうな?
山岸:
部長なんかアニメ好きでしょ?
iman:
あぁ、うん。まぁ。アニメオタクじゃないけど、懐かしむ程度に・・・
山岸:
ロボットものやアニメの主題歌聞きたくないですかぁ? マジンガーにゲッター、キカイダーにハカイダー、あしたのジョーにタイガーマスク、レインボーマンにガッチャマン、太陽にほえろや飛び出せ青春、ガオレンジャーにタイムレンジャー、ゴレンジャー!!(笑)
iman:
な・・・なつかしいな。
山岸:
買うほどまではいかなくても・・・ほら、そこに落ちていたら「再生」ボタンに手が伸びるでしょ?(笑)
ほぉ〜ら。ザクザク落ちていたら、マイ・フェーバリット・主題歌アルバム作りたいでしょ?
iman:
う・・・。
山岸:
なんか部長、汗びっしょりですよぉ(笑)。
MP3は音楽CDのリッピングだけじゃないです。動画やゲームからのリッピングもありますね。Gパン刑事の最期の場面とか、初代ガンダムのアムロとシャアの絶妙な言い回し会話(笑)、モー娘のラジオ放送、アニメだったら主題歌動画クリップ・・とかとか。
iman:
ADSLならダウンロードは数十秒から数分か。
山岸:
そうですね。MP3ならそんなもんです。ブロードバンド時代といえばやっぱり動画。ウルトラセブンに幻の12話って知ってます?
iman:
最初の頃、放送されたけど人権問題かなんかのくだりで封印した第12話のことだな。ビデオやDVDにも欠番になって・・・え?
まさか。
山岸:
落ちています。特撮やアニメなら30分弱ですから、MPEG圧縮で約200〜300MB程度です。ダウンロードに約2時間弱というところスかね。だから人気アニメは各話がMPEG化されて落ちてるんです。エヴァンゲリオン3話×××の巻とか、サンダーバード第××話とか・・ね。まるごと。
iman:
ひ・・ひえぇぇぇ。そ・・そんな風にやりとりされているのかぁ。