春の気配を感じると、もうすぐ卒園/卒業式や入園/入学式のシーズン。運動会と並んで、ビデオカメラが最も活躍する時期だ。それに合わせてか、各社からビデオカメラ(ビデオカム)の新製品の発表が相次いでいる。最近のトレンドは、動画と静止画ともに高画質で撮れること、手ぶれ補正機能が付いていることが上げられるが、それよりなにより、購入を検討している人を悩ませるのが、録画メディアにあるようじゃの・・(誰?)。
「ビデオカムを買おうと思ってるんだけど、テープ式ってもう古いんでしょ? ハードディスク(HDD)やDVD、SDメモリに録画する機種とか出てるけど、とれがお勧めのビデオカメラなの?
ねぇ、どうなのよ?」 と友人からの質問。なるほど。
今回はこのコーナーを借りて、その質問の答えを一緒に探ってみることにしましょう。
■コンパクトで気軽に使えるHDDカム
今まで主流だったミニDVテープに記録する方式に替わり、超小型HDDやDVDメディアに記録する製品が続々と発表されている。
HDDカムで最も知られているのが日本ビクターの『エブリオ』だ。この製品の最大の特長はコンパクトデザイン。内蔵するHDDはコンパクトフラッシュと同等サイズの1インチ「マイクロドライブ」で、記録ディスクの大きさは500円硬貨程度。HDDは本来衝撃に弱いのですが、本体に衝撃吸収機構があるので、使用時に気を使う必要はほとんどない。付属するHDDの容量は4GBで、8cm
DVD(片面)の約3枚分。録画時間で表すと、最高画質モードが約60分、画質を落として90分、120分、300分となる(CCDは212万画素)。HDDを入れ換えることはできるが、マイクロドライブは比較的高価なため、残したい映像はビデオやDVDレコーダー、パソコンなどにダビングしておき、HDDカムの内容は消去して繰り返し利用することになる。それがHDDカムのデメリットだ。
先月、ソニーが発表した初のHDDハンディカム『DCR-SR100』は1.8インチHDDを内蔵することで、容量を30GBと大幅にアップした。エブリオと比較すると少し大柄だけど、最高画質モードで約7時間20分の録画(CCDは331万画素)ができると割り切れば魅力的だ。ただし、それでもいつかHDDがいっぱいになってしまいますから、残したい映像は別のメディアにダビングして保存する必要がある。
■本格化するDVDカムに要注目
パナソニックのDVDビデオカム『VDR-D300』。8cm
DVD-RAMディスクに記録するビデオカメラ。 |
最近、注目度が急上昇なのが記録メディアにDVDを使ったDVDカム。最近になって登場したきた印象があるかもしれませんが、最も早く製品ラインアップをDVDカムに切り替えた日立製作所は、2000年に世界初となるDVDカムを発表して以来、DVD-R記録型、ワイド画面対応DVDカム、DVDマルチカムと、いずれも世界初の製品を投入し、先月、発表した「Wooo(ウー)」の新製品は既に6世代目となる。
同社の発表によると2005年度にはビデオカメラにおけるDVD方式の構成比は約33%、2006年度には約55%、市場規模としては約80万台に達すると推測しています。日立の新製品は、DVD+RWも含めてすべての記録型DVDメディアに対応していること、従来のDVDカムの弱点、取り始めるまでの時間を大幅に短縮(約1秒)した「秒撮」モードを搭載したことなどが特長となっている。
また、松下電器産業とソニーがDVDカムの新製品を相次いで発表したことで、DVDカムに注目が集まりそうだ。松下電器産業のDVDカム『VDR−D300』の最大の特長は、3つのCCD撮像素子を搭載して画質を向上した点や光学式の手ぶれ補正機能。通常は、ひとつのCCDが光の3原色(R・G・B)のフィルタを通して関知した光を映像に変換しているのに対して、VDR−D300は3原色それぞれに専用のCCDを搭載し、より微妙な色の違いを関知し、ディテールまで忠実な色再現性が可能だ。また、手ぶれ補正はデジタルカメラ『Lumix』で評価されている光学式ジャイロ機構を採用しているので、多くのユーザに支持を得られそうだ。
ソニーのDVD方式ハンディカム『DCR-DVD505』は撮像素子に新開発のCMOSセンサーを搭載して画質の向上をはかっている。また、DVDカムならでは機能と感じるのが、本体内蔵のマイクで5.1chサラウンドの音声をディスクに直接記録できること。美しい映像とともに臨場感あふれる音声があってこそDVDの醍醐味と言えるだろう。
■DVDビデオカム(DVDビデオカメラ)のメリット/デメリット
では、DVDカム全般のメリットとデメリットを考えてみよう。
DVDカムではコンパクトサイズを実現するために小さな8cm DVDを使用する。規格はDVD-R、-RAM、-RW、+RWがあり、撮影後のディスクをDVDレコーダーやプレーヤーに入れれば、手軽に鑑賞や編集することができる点が最大のメリットだ。例えば、松下電器のDVDカムなら、撮ったディスクを『DIGA』などで閲覧でき、編集も簡単。保存にも適している。ただし、通常のDVD規格と同様に、DVD-Rは追記のみ、-Rと-RWは互換性の高いDVDビデオで録画できるが、再生の前にファイナライズが必要…-RAMと-RWは編集可能な-VRモードで記録できるが、-VRの再生や編集には対応したレコーダーやプレイヤーが必要…、+RWはその中間の特長を持ち、撮影後のファイナライズなしでもDVDビデオと互換性がある、など規格によって特性や最適な使い方が異なるため、ひと言では解りづらい点がある。
ややこしいDVDの呪縛はカメラにも・・・
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また、8cm DVDだと容量が少ないのもデメリットのひとつ。-RAM片面で、最高画質(XP)モードで約18分、標準(SP)で約37分、長時間(LP)で約75分。今後、大容量のハイビジョン(ハイデフ)映像に対応するのにも容量的に困難。容量面とコストパフォーマンスの観点でみると現在も圧倒的にテープが有利だ。
ちなみに、松下電器の広報は「DVDレコーダーの普及によって、DVDカムは重要なラインアップです。ただ、SDもお勧め。小型で軽量(約242g)、メカレスなので衝撃とホコリに強く、ヘッド部の結露もないので、DVDと同様に今後は推していきたいと思っています。ハイビジョン対応については未定だが、テープではやりません」とのこと。
ここしばらくは購入検討で悩みそうだね。
こまったこまった。 |