年末商戦まっただ中、店頭ではDVDレコーダーが人気だ。「気になるけれど、新しい用語だらけで、どんな商品を買ったらいいのかわからない」「ビデオと同じ使い勝手なのか、それとももっと便利になるの?」といった疑問を持っている人も多いだろう。
しかし、機種もたくさん出ているし価格もまちまち、目的も用途もヒトそれぞれだから特定の機種を指さして「コレがお勧め」というのもなんだか釈然としない。そこで、たまには僕自身のDVDレコーダー環境とそれを使っている様子を紹介したいと思う。それで読者自身が様々な機能についてイメージしてくれればうれしいし、機種選びの選定になったら何よりだ。もちろん、今話題のPSXのDVDレコーディング機能が自分に合っているのかどうかを測る尺度になるかもしれない。
■ご予算はどのくらい?
僕が使っているのはDIGA『DMR-E100H 』
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いいところもあれば×なところもある。
仕事柄、いろいろな製品に触れたり、開発者の話を聞いたりするが、個人的にあくまで私的に使うDVDレコーダーは、財布の中味と相談しながら、機能と価格を比較し、できるだけ安く買った製品だ・・そうみんなと同じ。もちろん買う時期やお店によって価格は異なるので安く買ったかどうかは解らないが、今使っているのはパナソニックのDIGA『DMR-E100H 』だ。120GBのHDD内蔵モデルで価格は当時7.9万円。この上に『E200H』という機種があるが、予算が許せばそっちにしたかったのが本音(理由は後述)。でも小市民はいつも2番目を選ぶのである(笑)。
さて、PSX 。
PSXの価格は発表当時、衝撃的だった。160GBモデルで79,800円、250GBで99,800円だ。しかし、店頭値引によって価格は七変化するのがこの業界。仮に定価でPSXを買うとしたら、DIGA『DMR-E100H』の実売価格と同等。HDDの容量的に見ると40GB分のお得度しか変わらない。
■テレビ録画がしあわせになるHDD内蔵モデル
まず、もっとも基本的なことから。『E100H』はハードディスク(HDD)内蔵モデルだ。
ご存じのように、DVDレコーダーにはHDD内蔵とHDDなしのモデルがある。実は両者には使い勝手にとても大きな違いがある。HDDなしは「DVDレコーダー」と呼ぶにふさわしく、大雑把にいうとビデオデッキとの違いは、ビデオテープの替わりにDVDディスクになるというだけだ。HDD内蔵モデルは「DVDドライブ付きHDDレコーダー」という表現がむしろ正しい。ビデオデッキの使い方と似ているようだか、実はずいぶんと便利になる。
HDD内蔵の『E100H』も、録画したいものはとにかく一度、内蔵HDDにドカドカと録画する。大容量HDDならディスク容量もさほど気にせずガンガン録画し、観るときには録画した番組一覧から指定し、観終わったら消す。保存したい番組は消す前にDVDディスクにダビングして保存する。僕の場合は、ゴジラシリーズとか時代劇とか、金田一やポワロシリーズとか、DVDで買うほどのこともないが手に持っておきたい番組は録画してすぐにDVDディスクにダビングして保存している。一方、サッカーの試合やボクシングなどは観たらすぐ消す。『X
files Finalシーズン』などのドラマも観たら消す。『E100H』の場合、毎週録画する番組予約に「更新(上書き)」という機能がある。これだとドラマはいつも最新の回だけが保存されている(でも一週間以内に観ないと前回の分は消えちゃうぞ)。
■DVD-RAMか、はたまた-RWか+RWか・・・それは重要な問題なのだろうか
僕の場合、DVDディスクは保存目的のためなので、DVD-Rのみを使うようになる。だから機種選びの段階で、書換型DVDディスク(DVD-RAMやDVD±RWのことね)に何の規格が採用されているかはそれほど重要ではない。なにせDVD-Rしか使わないんだから。
ただし、「録画したDVDレコーダー以外のDVDプレーヤーで観たい」という希望がある人は別だ。そういう人はDVDプレーヤーがサポートしている書換型DVDと共通でないとまずいことになる。例えば、僕のは悪い例なのだが、リビングにある『E100H』はDVD-RAM対応で、僕の書斎にはパイオニアのDVDプレーヤー『DV-545』(-RW対応)があって、パソコンは±RWドライブを使っている。リビングのテレビが子供達に占領されているとき、『E100H』で録画した番組を書斎で観ようと思ってDVD-RAMにダビングしても、再生できるプレーヤーがない。保存版でなくてもDVD-Rにダビングして、観たらポイっ、と少しもったいない感じがするのである・・。
さて、PSX 。
PSXは、テレビ番組をHDDに録画して観る、DVDディスクには直接録画できないというコンセプトが気がかりの人もいるだろう。しかし、上記の僕の使い方と、ソニーが標準と想定している使い方が同じなのだろう、その制限には全く支障は感じない。ただし、重要なことがひとつある。僕は、昔VHSに録画したものをDVD-Rにダビングして保存している(大量にあるので少しずつ作業しているのだけど)。この場合は、ビデオから直接DVD-Rにダビングした方が効率的だ。PSXの場合、一度HDDに録画してから、更にHDDからDVD-Rにダビングという二度手間を踏むことになるだろう。
もうひとつ、PSXはDVDディスクにダビングする際に自動的に「ファイナライズ」作業を行う仕様になっている。これも問題はない。DVDのしくみを理解していないユーザにとっては、ファイナライズという行為は難解で理解しがたいものだから、なるべくオモテに出てこない方が望ましい。また、保存を目的にDVD-R録画することを基本に考えれば、再生互換性のためにもファイナライズは必ずやっていいと僕は思う。
■2.5時間の作品をビデオテープに収めるには?
この問題で、いつも頭を悩ませていた。最近の映画はめっぽう長い作品だらけだ。2時間や3時間はザラだ。その点『フォーンブース』(コリンファレル主演)は短くてテンポがあって良い・・・おっと脱線・・ある程度、画質にこだわる人は、ビデオテープでも標準録画したいのだが、3時間テープは高価だし、入手しにくい。しかも、2時間10分とかの作品を3時間テープに入れるのも小市民としては心苦しい。その点、DVDは、(画質は多少落とすことになるが)ディスク容量いっぱいになるべく高画質で録るという芸当も論理的には可能だ。『E100H』にもそんな機能「ぴったり録画」がある。HDDに録画した作品のうち、前後や途中に入るCMなど余計な部分をカットしてもなお、2時間以上の作品になっているときは、このモードを使ってDVDメディア1枚にぴったり収めることにしている(このとき、高速ダビング機能は使えない
: 録画時間は作品の時間と同じだけかかる)。『PSX』にはこのようなぴったり録画的な機能はない。
ちなみに『E100H』の場合、「標準」モードはSPと呼び、DVD-Rメディア1枚に2時間強が収録できる。1時間以内の作品の場合は高画質モードXPでダビングすればなお良い画質で保存できる。(ただし、実際画質にこだわってしまうと、XPでも画質の破綻は随所に見られる。DVDビデオ標準のMPEG-2である以上、ある程度は我慢せざるを得ない)
■テレビ録画を便利にするための戦い
さて、HDD搭載DVDレコーダーの最大の特長は、テレビ番組をグシグシ録画していく快適さ。各社、如何にテレビ録画を快適にするかでしのぎを削っている。その代表的な機能がEPGだ。EPGは、「Electric
Program Guide」の略で、「電子番組ガイド」の意味だ。つまり、新聞のテレビ欄のような番組表が画面に表示され、その中から番組を選択することで予約ができる、というものだ。EPGの番組表の情報は、テレビ番組(地上波放送)の電波を利用して送られてくる方式が一般的で、他にはインターネットから得る方式があってそれは「iEPG」と呼んで区別している。EPGの利点は予約が画面上でできて簡単だという点と(Gコードの方が簡単だという人もいるけんども)、番組のタイトルが録画したタイトルに自動入力され、リストに表示されることだ。僕にとっては後者がうらやましいのである。『E100H』はEPGに対応していないので、毎回、リモコンでタイトルを入力しているがこれが面倒でおっくうで、イライラなのだ。『E200H』はEPG対応なので、予算が許せば『E200H』が欲しかったというのはそのためだ。現時点で、パナソニックはこのように最上位機種にのみEPGを装備しているが、ソニーの場合は『スゴ録』や『PSX』は全機種にEPGを装備し、これを特長の目玉としている。パナソニックもソニーも開発担当者レベルの話では「EPGは標準になっていくだろう(それほど便利なモノ)」と意見が一致している。ソニーは更に「まる録」という機能を打ち出している。例えば検索文字に「サッカー」と登録すると、サッカーに関連した番組を勝手にどんどん録画しておいてくれる。ユーザは録画されたリストの中から必要なモノを観て、不要なものは消すというわけだ。この機能はPSXにも搭載されている。
■デジカメ写真やDVカメラ映像を活用するために
今回はこのへんまでにしておくが、僕のDVDレコーダー選択の基準はテレビ機能だけにとどまらない。デジカメで撮った画像やDVテープに記録した映像、とかく忘れられがちなこれらの大切なデジタルコンテンツをDVDレコーダーがどれだけ快適に再生してくれるか、デジタル世代にはとても重要なファクターだと思っている。さてはて、そんな視点で、今のDVDレコーダー製品をチェックしてみるのも大切なことに違いない。