■演劇が楽しいゴールデンウィークです
　先日、カトケン(加藤健一事務所)の舞台を観に行ってきた。『世はすべて事も無し』。再演だったが、初演を仕事の都合で見過ごしていたので、楽しく拝見できた。毎回のことだが、ハズレがなく、安心して観られる演劇はカトケンを置いてほかにないように思う。しかも、今回は最前列で観劇できた。たまにはいいもんです(ちなみにチケットはオンライン販売で買ったものではなひ)。カトケンと言えば、昨年観に行った『詩人の恋』が読売演劇大賞を受賞したそうだ。この場を借りてお祝いを言いたい。「オメデトウゴザイマス!!」
　 で、この『世はすべて事も無し』、6月まで各地で上演されるみたいだから、興味のある人は観に行ってはどうでしょう。ちなみにゴールデンウィークは紀伊國屋サザンシアターで予定されている。ストーリーはジジババのお話。最も若い配役が39歳という高齢芝居。そこがいい。もちろん動きがゆっくりでまだらっこしいけれど、そればかりは仕方がない。んで、女優陣が、それはそれは、いい味を出している。岡まゆみさんは、おばあさんの役柄でも、やはり素敵。お勧め。
　僕自身は最近、なぜかコメディに凝り気味で、大御所シティボーイズやラーメンズなどを好んで観ている。4月に下北沢で、ラーメンズの小林賢太郎氏がプロデュースする『Paper Runner』があるので、それが楽しみ。更に、恒例になっているゴールデンウィークのシュールな笑いシティボーイズが今年は『だめな人の前をメザシを持って移動中』を公演する。意味不明なタイトルだが、天王洲に観に行くつもりだ。あぁ、笑いたい。ナニも考えずに笑いたい。迫り来る締切と、進まない原稿を横目に、ふと、いや強烈に心で叫ぶ。(笑)
　こういう日はハウンドドッグとバービーボーイズのCDをかけよう(意味不明)。
　
■2003年のDVD市場を振り返る
　昨年、12月、いつもの月刊「PC Mode」の連載で「2004年のDVDのトレンド」を書くことになった。で、いつものように取材で得た情報をまとめて、こんな感じの記事を書いた。まずは2003年を振り返る。

　2004年景気の低迷が続く中で、２００３年のＤＶＤ市場は非常に好調な年だったと言えるだろう。パソコン用では、全規格対応の記録型ＤＶＤマルチプラス製品が夏に発売されて以来、生産が追いつかないほど売れ筋になっている。また、パイオニアは１０月に同社の全世界累計出荷台数が５００万台を突破したことを発表し(世界１位実績)、好調ぶりをアピールした。家庭用ＤＶＤレコーダーも店頭では年末商戦の主力商材に成長、９月の出荷台数は前年比の４０３．１%を記録した(ＪＥＩＴＡ調べ)。松下、東芝、パイオニアの３強に、ＰＳＸを発表したソニーが本格的に参入して注目は更に高まっている。

■2004年の高速化の展望
そうなると２００４年のＤＶＤ市場はどのように変化するのか気になるところ。2004年は年明け早々から8倍速モデルの記録型DVDドライブが主流となる。その先にある最も注目すべき点は、16倍速高速書込と片面二層化だろう。現時点では、規格の策定が素早いＤＶＤ+Ｒ陣営が先進技術の採用では一歩リードするとみられている。
高速書込では2003年夏にプレクスターがＤＶＤ+Ｒの８倍速記録製品(ＤＶＤ+ＲＷは４倍速)を規格策定前にフライング気味に発表して先陣を切った。直後に８倍速の物理フォーマット規格が正式発表され、１１月にソニーも対応製品の発売を開始した。１６倍速の技術発表もフィリップスによって１１月に行われ、2004年にＤＶＤ+ＲＷアライアンスで策定される。業界関係者では2004年中に１６倍速製品の登場が予想されている。ただし現時点の速度の上限については「ディスク回転数の制限があって、一般には１６倍速あたりが限界」(リコー)と見られている。
一方、ＤＶＤフォーラムによる規格策定の手順を踏むＤＶＤ-Ｒ陣営は2003年11月にようやく「-Ｒの８倍速、-ＲＷの４倍速は最終段階に入り、2004年明けには規格を反映した製品が発表される見込み」(東芝/富士写真フイルム)としていた。-Ｒの１６倍速については富士写真フイルムが先陣を切って１１月に技術発表し、先進性をアピールした。１６倍速は「これからＤＶＤフォーラムにのメディア技術を紹介するので、規格策定と各メーカーの製品化が来年中に行われるだろう」(記録メディア事業部 下野氏)と予測。ちなみに１６倍速では、ディスク１枚分がわずか５分で書き込めるようになる。
マスコミによっては高速化は「8倍速で十分」といったネガティブな記事を書いているものもある。 市場にとっては高速化に際限などなく、それに線引きするのはナンセンスな話しだ。2時間の番組をDVDレコーダーのHDDからDVDメディアにダビングするのに、10分より4分、4分より2分、2分より1分で済んだ方がいいに決まっているからだ。現実をみる場合、むしろメディアの価格と動向に注視した方が良い。いくらドライブが高速化されたと言っても、高速対応メディアの単価が下がらなければ、需要は向上しないのだから。そういう意味では、メディアメーカーの戦略が今後のカギを握ることになる。そんなこともあって、3月発売のPC Modeの僕のコラムでは太陽誘電に取材した記事を掲載しているので楽しみにして欲しい。

■二層化でワクワク度も二倍
もうひとつの新技術、片面二層化は市場に大きく影響するテーマだ。片面二層化(デュアルレイヤー)は既に市販のＤＶＤビデオのタイトルでは一般に普及している技術だが、記録型ＤＶＤではデータにアクセスする際のレーザー光の反射率が確保できないため、従来より実現は非常に困難とされてきた。それが2003年秋になって二層化技術の成功が続々と発表されはじめた。できなかったことが、なんで急にできるようになったのかの真偽は不明だが、太陽誘電は「現在やろうとしている技術であれば、当時から実現はできただろう」としているし、ドライブメーカーのコメントでは「ドライブ自体に大きな変更は必要ない」という一言まである。なんだそれは? 最初から二層化していてくれ〜、という感じだ。
片面二層化は容量がほぼ２倍になり、家庭用レコーダーでは超高画質(ＸＰ)モードで約２時間の録画が可能になる。もちろんＤＶＤ-ＲＯＭとの互換性を持つ。片面二層化の開発は-Ｒはパイオニア、+Ｒはフィリップスと三菱化学メディアから１０月に発表された。パイオニアは「規格検討をスムーズに行なうため、技術の完成度を高めてから、ＤＶＤフォーラムには今後提案していく予定」(パイオニア広報 宗藤氏)だ。製品化の時期は「来年中に規格化、製品化がはかれるでしょうか」と、遠い将来の話ではないようだ。一方のＤＶＤ+ＲＷアライアンスは展示会「ＣＥＡＴＥＣ ＪＡＰＡＮ ２００３」で+Ｒのデモを行い先進性をアピール。フィリップスは年内にも片面２層ＤＶＤ+Ｒ技術の規格化し、メーカー各社から２００４年に製品化が目標とされているが、実際に業界内からは春に発表、夏商戦には製品が登場するというウワサ。リコーは「+ＲＷは再生互換性に優れたメディアでビデオの直接録画には最適。高速性も向上してＨＤＤからのダビングももっと使いやすくなる。片面二層化製品は来年には市場に登場するだろうし、高速性、使いやすさにこだわったドライブやメディアを提供していく」(広報 青木氏)姿勢だ。
なんにしても片面二層化は記録型DVDドライブの製品リリースが始まって以来の大型トピックだ。下手すれば、みんなドライブを買い替えることになる。しかし、実はここでもカギを握っているのはメディアメーカーだったりするのである。

■2004年のDVD市場、「買い」か「待ち」か?
よりホットに、より便利に進化するＤＶＤ市場から2004年も目がはなせない。片面二層化のことを考えると、2004年前半にDVDドライブを買い急ぐ必要はない。 買ったらすぐに二層化時代になった、という事態になりかねない・・ただし、その可能性もきわめて低い。というのも、二層化メディアがそれほど安く市場に出て来る点も期待しにくいからだ。二層化は目的とのバランスを考えるとメディアが安くなければ普及はしない。その辺のなりゆきも、メディアメーカーのさじ加減かもしれない。
いずれにしても、二層化のせいで少し難しい状況に陥っている。DVDドライブはせいぜい2万円くらいなので買い替えも気楽だが、DVDレコーダーはそうはいかない。DVD+Rが好きな人は、もう少し様子を見た方が吉かもしれない。